CMN Headline
Vol. 19 [2009年7月発行]
広告会社がこぞって提案する
「クロスメディア」は神話になるか?
突然ですが、「AISAS」をご存じでしょうか。消費者の購買行動のステップを表した言葉です。ひと昔前まで、これは「AIDMA」(アイドマ。認知→興味→欲望→記憶→行動の5ステップ)と呼ばれていましたが、これが「AISAS」(アイサス。認知→興味→検索→行動→共有)に変わったというわけです。「検索」や「共有」が入っているあたりが、マーケティングの世界もWebの登場によって大きな変革を迫られた証と言えます。
広告費が削減され、マス広告が効果を失って・・・という論調は、CMN Headlineでも「いい加減飽きたよ」と言われるほど繰り返してきました。そんな時代でも唯一、Webだけが頼みの綱となっています。
今、広告会社がこぞって提案し、半ば流行語のようになっているのが「クロスメディア」。簡単に言うと、「今までのメディアとWebを上手くミックスして、もっと効果を上げましょう」というものです。テレビCMを見ても、「詳しくはWebで」「○○で検索」など、各社はマス広告を足掛かりにしてWebへ誘導し、詳しい情報はWebに詰め込んでいます。
こういった「クロスメディア全盛」の流れを見て、いざ実際のお客様の実情を振り返ると、なぜか違和感を感じてしまいます。言っていることは合っていて、確かに全体の流れは確実にクロスメディアに向かっています。ただ、何か忘れ物をしたような感じ・・・。重箱の隅をつつくような話ですが、今回はこの「忘れ物」について少し考えてみたいと思います。
話を「AISAS」に戻します。思うのは、「AISAS」はいわゆる一般消費財メーカーの話であり、千葉でそれぞれの事業を営む大多数のお客様には当てはまらないのではないか、ということです。特に、後半部分の「SAS」に疑問が残ります。
「検索」の次が「行動」・・・。周りのお客様を見渡したとき、果たしてこれは本当でしょうか。検索の結果は「認知」になることもあり、「興味」になることもあり、「欲望」にも「記憶」にもなるもの。購買前の葛藤は、全てがパソコンの前で行われるものではないと思えませんか?
私たちは、「検索」と「行動」の間には、「評価(evaluation)」というステップがあると考えます。お客様は最終的に、ブランド自体への評価や、「このお店に行くことは得になるか、損になるか」の評価を行います。その舞台はパソコンの前かもしれませんが、お店の目の前かもしれません。「最後のひと押し」を与えるためには、店頭広告やキャンペーンのフック、さらにはオペレーションまでが重要な役割を担ってくるのです。
そして「共有」。御社のクチコミは、何件のブログに載っているでしょうか。ブログやSNSがもてはやされた時期に生まれた「AISAS」は、広告会社の希望的観測に基づいたものだったかもしれません。今では、ブログやSNSのクチコミは多分に広告的であり、必ずしも信用性の高いものではないように思われてなりません。「AISAS」は、千葉では「AISEA」(認知→興味→検索→評価→行動)。これが私たちの考えです。
結論として、「クロスメディア重視」は真実。それには異論を挟む余地はありません。ただし、「Webを強化し、Webと連動すれば売上が上がる」という単純なものではないと思います。誰が、何にメリットを感じて御社の商品・サービスを買うのか。顔の見えるプロモーションこそが、私たちが実践するダイレクトマーケティングの真骨頂です。