Vol. 20 [2009年8月発行]

企業が“高校デビュー”で生まれ変わる!?
広告の底力を再考する。

 2009年8月後期のCM好感度ランキング。携帯キャリアや自動車メーカーなど、おなじみのメンツが顔を揃えるなかで、異彩を放つのが8位にランクインした「タマホーム」。木村拓哉さんにタマホーム社長(タマちゃん)からメールが届く・・・という内容ももちろんのこと、木村さんをキャスティングしたこと自体も大きなインパクトを与えています。
 それよりも注目すべきは、しれっとブランドイメージの大転換をやってのけたことでしょう。タマホームと言えば、「ハッピーライフ、ハッピーホーム、タマホーム♪」という和やかな歌に乗せて、「行こうよ!」と呼びかけるみのもんたさんのCMの印象が強いですね。価格の安さと、親しみやすさを売りにしたタマホームらしいCMだったと思います。ところが今回のCMでは、真っ赤なバックに英語で「TamaHome」。サウンドロゴも、勢いのある男性の声で「TamaHooooome!」と叫ぶものです。かなり思い切った路線変更だったとは思いますが、結果的に消費者には支持されているのでしょうね。
 従来のタマホームのイメージは、(私の感覚ですが)「安い」「親しみやすい」「老若男女全ターゲット」であったと思われます。ところが、「安い」=「品質が悪い」、「老若男女」=「デザインが平凡」というマイナスのイメージも抱えることになってしまったため、今回の変更で「カッコいい」「優れている」というイメージを獲得しようとしたのでしょう。広告一つの打ち出し方次第で、商品の価値観まで変えてしまう。それが広告=情報の力だと再認識せずにはいられません。

 もう一つ例を挙げると、四国・今治の「タオル・プロジェクト」が特筆ものです。今治市と言えばタオル工場、またはそれすら知らない人も多いと思います。このプロジェクトを手掛けるのは、今や超有名デザイナーとなった佐藤可士和氏。単なる工業製品にすぎない「今治のタオル」は、一つの優れた文化として生まれ変わりました。一度HPをご覧いただければ、「今治のタオル」に対する価値観が変わると思います。

 消費者は多かれ少なかれ、イメージに左右されます。それは、イメージの発信者である私たちや御社にとっても同じです。店舗のイメージはこうだ、だからターゲットはこうだ・・・と、「既存のイメージ」で捉えます。それ自体は至極当然なことなのですが、もしも今の立ち位置が不本意なものだったなら・・・?「イメージの変更」も選択肢に入れるべきではないか、というのが私たちのご提案です。
 例えば、「ファミリー層向け」という飲食店があったとします。もちろんお客様はファミリーが多いのですが、そこではファミリーが来る→メニューや店舗イメージがファミリー向けになる→広告がファミリー向けになる→ファミリーが来る・・・という連鎖が起こっています。しかし、もしかするとこの店舗は富裕層にも支持される商品力を秘めているのに、その機会を自ら逃しているかもしれません。また、お客様は「安いお店だから味もそれなりに違いない」という先入観(イメージ)を持ち、不当な評価につながる可能性も考えられます。こういったリスクを回避する手段として、時々は自分のイメージを見直してみる、ということが必要なのではないでしょうか。

 日本では古来より、「言霊」というものの力が信じられてきました。発した言葉が力を持ち、その通りになっていく。その力を受け継いでいるものは、ひょっとしたら広告なのかもしれません。

 

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