CMN Headline
Vol. 24 [2009年12月発行]
消費者は“合理的に非合理!?”
多様化時代に対応する「行動経済学」とは。
マスメディアの衰退原因として、よく「消費の多様化」が挙げられます。情報があふれ、選択肢が増えたことで、消費者が一方向に動かなくなった・・・ということですが、もともと広告とは、人の心に訴えかけ、何かのアクションを起こさせようという行為です。確実に全ての人の心を操る、ということは出来るはずもありません。ですが、何とかして多くの消費者の心を動かしたいものです。
昨今、心理学と経済学を融合させた、新しい経済学「行動経済学」が注目されています。難解な「消費者のちょっとした気まぐれ」を心理学によって解き明かし、購買に結び付けようというものです。その原理はいたってシンプル。消費者は、さまざまな「心理バイアス」(先入観のようなものと思って下さい)によって、行動が左右されます。自分の意思で決めているように思えても、知らずにバイアスの影響を受けているのです。つまり、こちらで心理バイアスを“仕込んでおく”ことで、ある程度の影響を与えることができる・・・という理論です。
例えば、「10円まんじゅう」という業態がありますね。まんじゅうが1個10円で買えるわけですが、通りかかって「あっ、美味しそうだな」と思った瞬間、その人が食べたいと思う量はせいぜい1〜3個程度でしょう。ところが、店頭には「10個:○○円、20個:××円・・・」と書かれています。多いところでは100個の表示もあるほどです。そこで消費者は「なるほど、みんな10個単位で買うんだな。だったら家族の分も・・・」「ちょっとした手土産に良いかも・・・」などと考え、ついつい余分に購入してしまいます。
これはバイアスの一種で、「アンカー(船のイカリ)」と呼ばれます。10円で1個だけ買っても構わないのに、「10個、20個・・・」と表示されるとつい10個前後、もしくは10個単位で買ってしまう。基準となる数字に「心が引っ張られる」わけです。
行動経済学では、この他にもたくさんの「バイアス」が存在しています。それらによって消費者の「何となく買い」や「衝動買い」を誘発できたら、なかなか有用な学問と言えます。ですが、まだまだ新しい分野なうえ、心理という難しいものを相手にしているので、確立しているとは言えません。これからの研究が楽しみな学問ですね。しかし、今のままでも十分に利用可能な部分がたくさんありますので、関連の本をご一読いただくと良いと思います。
私たちはさまざまなキャンペーンを行います。その見せ方次第で、キャンペーンの成果に大きな差が出ます。「どうしたら消費者に、よりお得感を感じてもらえるだろうか」と考えたとき、行動経済学が役に立つかもしれません。感覚だけの提案でお客様の広告費を無駄にするような広告会社にならないために、最新の経済学を身につけるべく日々勉強しています。効果の高い広告は、理論に裏付けされた確信があってこそ、と私たちは考えています。