Vol. 36 [2011年10月発行]

広告は、実施することに意義はない。
効果検証を、もう一度!

ソーシャルメディアが普及し、一億総メディア保有者となった現代。ソーシャルメディアは、広告の手法だけでなく、その目標設定や選択基準にまで影響が出るようになってきたと言えます。それは、ソーシャルメディアそのものによってではなく、私たちの心理の変化によるところが大きいようです。

 ずばり、広告は「話題性があるか、ないか」という点に、ずいぶんと主眼が置かれるようになってきたと言えるでしょう。

 Twitterをやったことのある方なら、あるひとつの情報がたくさんの人から人へ駆け巡っていくのを目のあたりにしたことがあると思います。「話題性」によって、情報が行き来する様子を見てしまえば、自分もその発信源になりたいと思うでしょう。しかし、ソーシャルメディアによって“誰もが話題を提供できる”状況では、ちょっとお得な情報、くらいではユーザーの目を引くことはできません。そこで、誰もがびっくりするような「客引きパンダ」的手法が好まれるようになったのです。

 広告が話題性偏重になったのには、もう一つ理由があります。それは、消費者の「消費控え」です。依然として続く景気の低迷、先の見えない放射能の問題、そういったものに経済力を削り取られた消費者たちは、ちょっとやそっとのお得な情報では動かなくなってしまいました。財布の紐が固くなってしまったのです。業を煮やした広告主たちは、徐々に広告手法をヒートアップさせていき、イベント的な手法を好んで選択するようになったのでしょう。

 もちろん広告手法として、イベントも、客引きパンダも、チンドン屋でも結構なのです。私が危惧しているのは本来の目的を見失っていないか、という点に尽きます。一時的な話題性や集客を狙った手法は、とても達成感のある悪魔の薬です。賑わったことそのものを、広告効果と勘違いし、盛況な様子を見て満足してしまうのです。

 ですが、もしそれが短期的な売上増につながったとしても、中期的なベースアップにはほとんど意味をなさない場合が多いでしょう。長期的なブランディングという観点から見ても、多く見積もってもひとつのパーツにしかならないはずです。そのパーツをたくさん繋げていけばもちろんひとつの大きな形を成すかもしれませんが、それができるのであればその会社は、既にイベントを必要としていないはずです。

 まだまだ体力の要るこの景気低迷、乗り切っていくためにはしっかりとした土台づくりが必要です。そして広告はギャンブルでなく、賑やかしでもなく、かけた費用を必ず回収していく「投資」です。その効果について、もう一度検証する時間を設ける必要があると思います。そしてもう一度、今の広告手法を見直してみませんか。

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