Vol. 37 [2011年11月発行]

流行語とともに振り返る
2011年の広告事情。

いよいよ12月。今年も「新語・流行語大賞」が発表されました。世相を反映すると言われる流行語ですが、同様に世相を反映すると言われるのが広告。流行語でも、ニュースでも、一年を振り返るとき、それはそのまま広告の流れを追うことにもなります。

 今年の流行語は、震災関連のものが半数を占めるという結果になりました。広告業界においても、(もちろんどの業界においても)今年は震災の影響を語らずにはいられません。以前にもこの欄で述べた通り、あれから広告は様変わりしました。いわゆる「あからさまな」「広告的な」手法が支持を得られなくなりました。メディアの偏向報道、という言葉が取り沙汰されるようになったのも今年です。メディアが今年だけ露骨になったのではなく、受け取る側が今年は特に敏感になったのです。今でも、半分はそういったメディアへの皮肉の意味を込めて用いられることもある「風評被害」。繰り返し流され、広告の「刷り込み効果」の良い面も悪い面も浮き彫りにした「こだまでしょうか」。人々が真面目に、一生懸命にただ生きようとする時代、広告はただの五月蠅い客引きにもなれますし、地域活性化の息吹にもなれます。来年以降も、慎重な舵取りが求められるでしょう。

 そして、もう一つの大きなニュースと言えばスティーブ・ジョブズ(米アップル創業者)の逝去でしょう。流行語にも入賞した「スマホ」。iPhone4/4Sの爆発的な普及により、アップルはWeb・モバイル広告の構造を一気に変えてしまいました。同じく市場を席巻しているiPadをはじめとした「タブレット」という市場も生まれました。Twitterやfacebookの流行に後押しされ、スマートフォンはもはや携帯電話ではなく、「総合コミュニケーションツール」としての地位を確立したのです。

 スマートフォンの普及によって、広告業界は変わりました。それはモバイルサイトのインターフェースが変わったり、スマートフォン用アプリ開発というビジネスが生まれたりということ等ではありません(これらも十分に大きな変化なのですが)。これからは、全ての人々が発信する「一億総メディア」状態。つまり、企業の行動は、その一つ一つがプレスリリースとなります。広告は全てが「プレス発表会」。One to Oneマーケティングどころではない、One to One PRを実践していかなければならないのです。

 この話を突き詰めると、顧客も「発信するメディア」ですが、プレス発表会(=広告)で発表する企業そのものもまた、一つのメディアであると考えられませんか?メディアの役割は―――そう、偏向せず、露骨にならず、かといって一辺倒にならず、それでも伝えるべきことは伝えていかなくてはなりません。鍵は“コミュニケーション”にあります。

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